野池140−釣行記−FishingTrip
野池情報−2009/03/22
気象・野池状況 |
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天候 |
曇りのち雨 |
最高気温 |
17℃ |
風 |
微風 |
平均水温 |
14℃ |
水質 |
中濁 |
basstank釣行記−2008/03/22−10:00〜18:00
前日に続き、楽しき一日釣行。本日のフィールドは野池。
到着後準備を終え、出港したのは午前10時少し前。
西の空にはドス黒い雲がその輪郭を生成し、徐々にこちらへ向かっている様子。前線が近づいていることは明らかか…。
午前中とは思えない光量。…「最高の天候」とはこのことだろう。
心配は、そのうち訪れる雨、そして、その降水量くらい。ドシャ降りはやめて貰いたいが…。
…
さて…、3月下旬。天候によっては肌寒さを感じるが、水温は上昇傾向であるはず。またそれに伴って、期待したいバスの高活性。
良い釣りができますように。…手を合わせ、釣行開始。
…
このフィールドのパイオニアルアーは…決まっている。自作ビッグミノー。
水も程良く濁り、温い。そして、ほとんどの大型バスは、シャローを差しきったと考えて良いだろう。
手早く、手堅く…。
岸際を狙いながら、いつものように反時計回りにフィールドを流していく。
キャストは15mほどの距離を。そして、着水と同時にリトリーブ開始。またその速度は、ランダムなスローリトリーブ。平均すれば、1秒間に一巻き程度の早さである。
…
いつもの釣り、いつもの釣り。
太陽の光は、容積を増し続ける雨雲に遮られ…、気づけば時折、微小な雨粒が頬を打っていた。
…
ミノーを通すには少し臆病になりそうなストラクチャーも、視界にいくつか入ってくる。
これらにはワームを落とし…反応を伺う。
今日のコンディション下において、カバーに付いている…とはあまり考えにくいが、とりあえず落としたくなる。
…14gフロリダシンカー、4/0フック、フロロ16lb、お気に入りソフトルアー、ロッドアクションはヘビー。ミノー用も含め、ミディアムヘビーとヘビーさえあれば、この季節の釣りは成立する。…いや、年中成立か。とにかく私にとっては大好きな釣りである。
カバーへ落とし、底でポーズ、いちにとリフトを入れ、中層へ、シェイクを挟み、表層に浮く障害へ引っ掛け、シェイク、ポーズ、十分に待って回収。
という、オーソドックスな流れ作業。
しかし、その単調な動作の最中に突如訪れる快音。そして、その音を味わってしまっては、忘れることは難しい。
…もう一度、もう一度。
ふと我に戻れば、あの音を求めて、以前と同じ釣りをしているものである。
…
どこも薄いショアライン。
もう少し細いライン、ライトシンカーで良かったか…。結び替えることもできたが、なぜかそのまま撃ち続けた。薄ければ、ミノーを通せばよいと判断したからかもしれない。
リップが水面を触る様子を見つめながら…バイトを待つ。
…
「んー、やっぱり難しいっすよ」
時間は無意識のうちに流れ…それだけ集中していると言えば響くが、やはり切ない。
ルアー回収時の手も、苛立ちと寂しさからか、動作は素早い。
恨めしく、空へ顔を向ける。
とうとう降り出したか…。その存在が明確に感じ取れるほど、雨粒は大きくなったようだ。波紋が水面を占める密度も、明らかに高く、騒がしくなってきた。
時刻は午前11時半。もうそろそろ、一本がほしいところだが…。
…
ここで少しエリアを移動することにした。
フィールドの西側、南向きの斜面。木々は未だ、本体の幹が露わになっており、葉を持たない枝達では護りきれていない様子が伺える。
雨が生命感をさらに奪い…低い気温も視認できてしまうような感覚を覚える。
体温も下がってきたか。一瞬、身震いし、首もとのファスナーをしっかりと閉め込む。
…陽はしっかり当たり、地形も理想的。岸から10mほど離れたところで、足元の水深は8m。間には、綺麗なブレイクラインが存在し、その上側の傾斜はさらに緩やかだ。
基本に忠実に…。
岸からは3mほど離れたところ…岸と平行に、ブレイクラインに沿って、色を変えたルアーを通す。
ゆっくりとしたリトリーブで、ミノーを泳がせる。少し複雑なリズムで、ミノーが舞うように。
すると予想通り、正解は近かったようだ。
…
『コンッ!』
手元を叩くような、単発のアタリ。そして、そのノックを確認した瞬間、垂れ始めるライン。
…引ったくったか。ラインを素早く認め、ハンドルを巻き…そのままロッドを大きく煽る。
『グー、グーン!』
バスは大きく旋回しながら…捉えたはずの獲物を、実は人間と取り合わなければならないことを知る。
足元での走りは、文句なし。…だが、少し重量感が足らないか。
そして、ジャンプにより、そのサイズを確認する。まずまず、一本目。
しかし、手元でのフックアウトが怖い。
…そのまま抜くことにした。
よっし!
このフィールドにおいてはアベレージサイズだが、コンディションは抜群に素晴らしい。
雨を忘れさせてくれる、嬉しい一本である。
この調子でどんどん拾っていくか!と、お陰様で気合いが入り、冷め切っていたテンションも取り戻す。
…
やはり、釣れないと…。
雨に打たれる覚悟を持つ代わりに、釣果を望む。雨に打たれるだけでは、早々に心が折れてしまう。
そしてなんとか、折れかけていたところを…と言いたいが、まだその部分は脆い。
次の一本を。もうワンサイズ上を。
早くしなければ、私のキャストはすぐにヤル気をなくしてしまう。
…
そして幸運にも、10分後。
同エリアを、同じように探っていると…。
今度はこの水の中、丸見えのバイト。表層にて。
微かなチェイスを確認後、すぐにポーズを入れ、一呼吸置くと…。
『フッ…』
良型バスは水面のルアーを奪い、そのまま水中へ消えていこうとする。
来たッ!
と、思ったかどちらが先か。瞬間の嬉しい体の反応。すぐに、フッキングへ移行する。
…反転した先とは逆にロッドを傾け、ほとんどバスの体重にフック先端を預ける。
『グン、グン、グン…』…引きは徐々に加速し、重厚になっていく。
…
『バシャ、バシャッ!』
目の前のバイトであったため、当然、バスとの距離はなく…雨か、バスか、発生元を特定できない水飛沫を喰らってしまう。
これこれ。
もう狂った。お互い駆け引きなど関係なく…ラインを通しての会話も成り立たない。
…
…しかし、次第に状況はこちらが優勢となり、バスの表情をしっかりと確認できるまでに。
そして、雨が激しく髪の毛を打つ感覚に気づいたのは、バスの口を掴んだ後。
…
やった。…サイズアップの45cmUP。
体の状態もさらに良くなったか。パンパンのお腹と太い尾ビレの付け根は、先ほどの格闘の困難さを再び思い起こさせる。
このような魚が比較的簡単に獲れるのは、相当嬉しいこと。このサイズ、このコンディションに出会えると、雨も気にならない。
…むしろ、感謝か。
さようなら。
スポーニング絡みの個体だと思われるだけに、リリースも慎重に。…雨の波紋と濁りのため、バスの姿は異様に早く消えていく。
…ふぅ、さて。一仕事終えたかという、呼吸も気持ち良い。
…
そして、雨脚が強まり始めたその後、天候が回復する様子は全くなく…しばらく同エリアを探ってみたが、続いての反応はなかった。
バイトを再び見失い、ロッドを振りつつも、大きな雨粒に打たれるだけの時間がただ過ぎていった。
…
…表層を中心に探りながら、フィールドを一周。
午後3時。ここでメインタックルを、テキサスリグへ変更。ミノーへの反応も良かったことから、そのシルエット、長さも近いソフトルアーを選択。
この季節、バスは底を強く意識していることも多い。また、バスの居場所もある程度絞ることができた。
これからの時間帯、ゆっくりとズル引いてみるか。
…
向かったのは、フィールドの最上流部より100mほど下ったエリア。バックウォーターから大きく蛇行している、アウトサイド部。水深は足元で3m未満と比較的浅く、傾斜もほとんどない。
底の主な構成物質は、砂と泥。沈む障害物は、オダ程度だろう。
…岸と垂直にキャスト、ストップ&ゴーの基本アクションでしっかりと底を捉えながら、ズル引く。
ただし、何かコツをと言われれば、「小刻みなストップ」が挙げられるだろうか。もちろん季節、状況に因るが…基準となる一つの動きは、ハンドルを一回転させる間に、1〜2回のポーズを入れるというもの。そのポーズ時間は0.5〜1秒ほどだが、これがまた効果的であると信じている。
ロッドワークはほとんど入れず、ハンドルのみの動作。これだけで、強いティップを持つロッドならば、甲殻類や底を這うベイトを上手く演出しやすい。しかも、これで障害物を捉えようものなら…。
…
これまたいつもの釣り。いろいろ挑戦したいな、と思いつつも、過去の栄光にしがみついてしまう。『得意な釣り』、『切り札』、『昇華させている』と言えば聞こえは良いが、釣りの視野が狭まっていることは間違いないだろう。成功体験からの脱却、とはなかなか難しい。
今年はどんな釣りを展開しようか。どんな釣りを新たに勉強し、覚えていこうか。
そんなことを考えながら、岸際に撃ち、ハンドルをテンポ良く動かしていった。
…
そして、30分ほど経過。
下流へ下りながら南側の斜面を流していると…
『コン、コンッ!』
短いポーズの直後、はっきりとした、気持ちの良いバイトが。
『ガッ!!』
一呼吸の溜めの後、フルスイングのアワセ。本当に気分良い。
…
よっし!
3本目となるバスだが、これも健康体。ヒレは美しく、体高も十分。
しかし、お腹の様子からは、産卵の気配等は感じられない。 オスか、まだ登ってきたばかりか、それとも…。
とにかく、バイトが遠のいていたところでの一本。降ったり、止んだりの空も今は祝福してくれているのか…雨は上がっているようだ。
…
今日は良い釣りができているのではないか…。
寒さに震える体も褒めてほしいと言っているようだ。いくら低気圧が後押ししてくれていると言っても、このような気温下と空模様でロッドを振ることは …大変である。もちろん精神的にも。
タイムアップが近づいていることに、少々喜びを感じながら、再びフィールドを巡り始める…さらに下流へ。
今日は、帰ったら、風呂が気持ちいいぞっ…最後の気力を振り絞り、目を凝らしていく。
…
続いて、だだっ広いシャローエリアへ。底には何もない、少々つまらない場所。しかし、風が吹き溜まるポイント。
…多くのバスは経由地を越え、完全に産場を差している、あるいは、ベイトを積極的に追っていると考えられる。何処を探ろうかと思考を動かせば、その二つを基本にすると、このようなエリアへ導かれる。
まぁ、そこまで追い詰められている訳でもない。可能性がある程度信じられるところで、ズル引けば良いではないか。
すでに十分な釣果を得て、なんとなく日没の時間を歓迎しているのか…ただ時間を過ごすだけの消化動作のように、単調なハンドル操作は続く。
…
時刻は午後4時半を迎えようとしていたところ…。
反応はなく、同エリアで、ミスキャストからバックラッシュを直していた。
…
そして、左手親指と人差し指でラインに触れながら、フケが出ないようラインを巻き取っていると…。
『クンッ』
左手から、生物の動きを微かに感知。喰っている…ラインを素早き巻き取り、急いでアワせる。
『ガッ!!』
…乗った。
『ドン…ドンッ!!』
一瞬、それほどのサイズではないか…と、思った瞬間、興奮が宿った。直後のライズ音は太く激しく、その姿も迫力がある。
『バシャンッ!!』
伸びがあり、いつまでも力強い走り。
その強靱さは、こんなに足元の水深あったっけ?…と誤認させるほど。
重い…。
水から引き抜ける感覚、引き抜こうとする意志は全くなく…バスの口を慎重に掴もうと、自然と膝を付いていた。
…
ふーっ。…長く息を吐く。
堂々の45cmUP。
…そして、本日一番の体格か。とにかく、重い。…1kg後半はありそうなその重量感に、腕の筋肉も強張る。
嬉しい。その膨張した体躯を今一度眺める。
…
ん?
んん?
なんだ?…出てるぞ?何かが出ている。
しかもずーっと出ている。
!!…しまった、卵か?…いや何だ?浮き袋が膨張して…という水深でもないし。
何だ?…初めての経験であった。
笑い事ではないかもしれない。がしかし、どうしても記録には残しておきたかった。
撮影を終え、すぐにリリースする。
…泳ぎ戻っていく姿は元気そのものだが。どうか。
…
…相変わらず、雨は降ったり止んだり。
時刻は、午後5時が近づいていた。
先ほどの一本でダメ押し。今日の釣りを締めくくるに相応しいバスと言っても良いだろう。…そろそろ港に戻ることにした。
…
うーっ、寒いっ。日没間際、体感温度は急激に下がっていった。
これはもう、温泉しかないか?
釣りが終わっても、楽しみは待っている。
…
とここで、最後のつもり。風雨が弱まった一瞬、気になるポイントを確認。…怪しい。
動物的感か、今までの経験から来るモノなのか…。共通しているのは、流曲の外側と言う条件と浅場と言う条件だが、なぜそこを狙ったのかと尋ねられれば、正確な返答は難しい。
知る術は、ロッドを振ることのみ。
撃ち込むのは、7.5インチのフルサイズワーム。
今年も活躍必至の、スーパーワーム。その信頼は揺るぎないもの。
また、このような水でこそ使いたいそのボリューム感。最後のお願い、としてその日の釣行を懸けるのも良いだろう。
…船首を上流へ向け直し、岸とは45°ほどの角度を付けてキャスト。テキサスリグはショアラインに落ち、ラインが未熟なオーバーハングに掛かる。
ロッドを上下させ、ラインを外し…着底を待ち、ポーズ。
反応を聞いて、徐々に寄せていく。
足元の水深は4mほど。
…
二投目。同じ角度で、撃ち上がっていく。
ロッドは固定したまま、ハンドル操作のみ。…そしてやはり、小刻みなストップ&ゴーが基本。無意識の内に、体が学習した動き。
それは決して、規則正しいものではなく、不規則なリズムでハンドルを動かすのだが…もしかすると、知らず知らず、何か法則を持ったリズムを刻んでいるのかもしれない。 そして、それは今後も変化し続けるのだろう。
この季節、この状況…ならば、この動きで。常に求めながら釣りをすることで、いつか得た解答が体に自然と染み込んでいるのだろう。
意識することは少ないが、その解答の多さが、釣り人をバスへとより近づける。つまり、引き出しの多さと、引き出しの中身の多さ…どれだけの季節、どれだけフィールドへ足を運んでいるか、 それは最も大切なことだろう。
…
三投目。さらに撃ち上がっていく。
…
しかし、諦めのリトリーブは、すぐ足元まで到達する。…ロッド先端から垂れるラインは、水面へほぼ垂直に落ちる。
駄目か。…しばらくステイ。
…
『ガンガンッ!!』
来たッ!…底のモノを襲ったとは考えにくい、引ったくるようなバイト。
『ガンッ!!』
足元のゴングに一瞬驚いたが、アワセに支障はなかった。バスは…右側、岸へ向かい、猛ダッシュを始める。ロッドとラインがほぼ一直線上になりそうだ…何とか嫌うと…
『バッシャ、バッシャ!』
ライズごとに、胸が沸き立つ。それは嬉しさからか、バラシへの不安からか…。バスとの距離はほとんどなく、奔放に振る舞う様子をただ見守ることしかできない。
ロッドをバスの走る向きへ流しながら、体力の消耗を狙う。
…
ロッドごと飲み込もうとするダッシュは、絶えず発生する。収まるところを知らない。…楽しい。
…
そして、徐々にバスの泳ぎは横たわり始め…手元で口を半開きにすると、私の親指を迎え入れた。
…
やった…。
絵に描いたようなプリスポーンバス。このシーズンだからこそ出会える、成長しきった美しい魚体。そして…重い。
最後の締めとしては贅沢すぎる。…釣行に出た甲斐が、本当にあった。よかった…。おそらく哀愁漂う表情であっただろう、空を仰ぐ。
…
「よっしゃぁあア゛!!」
雨空のせいか、叫びは反響しないが…耳元でこもる自分の声もどこか心地よい。
…ありがとう。
その後訪れる感情は決まっている。…感謝である。本当にありがとう。ありがとう。
手から離れるその勇姿…いや…その優雅な姿は生命力に満ち溢れ、これから訪れん麗春の季節を待ち望んでいるようだ。
…
雨は再び強くなる。
しかし、今回ばかりは冷めることはない。あのバイト、あのファイト、あのコンディション…頭で復習する度に、身震いし、表情が緩む。
温泉+熱燗か?…帰りのオプションがどんどん増えていく。むしろそちらへ楽しみがシフトしつつあるか。
…
午後5時を過ぎ、タイムアップを宣言。港へ向かう速度を上げる。
…
余裕の帰港。
もういいよと、言い訳しながら…ミノーをトローリングして進む。
そして結局、戻ってきた堰堤付近では、どうしても投げたくなり…スローリッピングを楽しんでしまう。
…結果。
さすがにこの時間帯で、この光量。魚の反応は高い。
トップでの元気なバイトに、もう一周するか?という思いも正直残ってしまった。
…が、残りの時間はいつもの行事。
…
雨に打たれながらのゴミ拾い。
決して格好良いものではないが、それでも、今日の釣果に感謝したい。
きっとこの姿は、水を通して魚に見られている。少なくともフィールドが見守っていることは間違いない。ありがとう、そして…次も素晴らしい、バスフィッシングをお願いします。
悪天候ではあった。しかし、これだけ気分の良い帰り支度は、久しぶりである。
…
レインスーツを着てはいたが…雨は私の体をしっかりと包んだ。
したがって、パンツの替えがほしい…が、持ってきていない。
周囲を確認し、一部衣服を纏わず、車へ乗り込む。
さぁ、帰るぞっ!
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