野池136−釣行記−FishingTrip
野池情報−2009/03/10
気象・野池状況 |
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天候 |
快晴 |
最高気温 |
16℃ |
風 |
微風 |
平均水温 |
9℃ |
水質 |
少濁 |
basstank釣行記−2008/03/10−17:30〜18:30
先程の会議中、私の頭の中は釣りのことで支配されていた。
私にとって出張は、遠征と同義。遠隔に向かえば、いつもとは違うフィールドが待っている。
「仕事が終わったら、何処に行こうか…」
釣行時間は限られている。しかし、その思考が、今日の朝から離れることはなかった。誠に不謹慎な話であるが、個人の嗜好と思想は自由。私には、釣りこそが生きるための糧であり、生きる意味なのである。
さて…。
フィールドに到着したのは午後6時をまわった頃。結局選んだのは、雑誌などメディアにも登場する、超メジャーフィールド。
ここは以前にも訪れたことがあり、河口近くで、広大な面積を有する超大規模貯水池である。
…すでに西日がかなり強く射していることからも、今がベストタイムだと判断して良いだろう。
さあ、この季節に選びたいエリアはどこか…。
広大なフィールドであるほど、釣りをするエリア選びが重要となる。
まずは、「水温」を意識したい。どの季節も共通して言えることだが、特にこの最低水温期を過ぎた時期には、できるだけ「暖かい」エリアを選びたい。
一日太陽の光が届く、南向きのエリア。また、光熱を水中に伝える、杭などの存在。バスの居場所を絞るには、どちらも必要条件であろう。
そして次に、「風」を意識したい。
それは、春の風があたるエリアを大きな前提とする。春のバスは、ベイトにひき付けられる。ワカサギが存在するフィールドではその傾向が特に顕著で、風が吹き寄せるエリアに、産卵絡みや体力の落ちたワカサギが打ち寄せられ、バスも付く。そのようなことは周知の事実であるが、このフィールドにワカサギがいないとしても、基本的な考え方は他のフィールドと同じ。
要は、早春のベイトパターンを適用し、それを意識しながらエリアを絞る。そしてここには、多種にわたるベイトが存在しているため、あらゆる可能性に期待してしまう。
…
決まった。
ようやく竿を振り出したのは、日没間際。まずは、自作シャロークランクで表層をチェック。
波風に翻弄される、無防備な生命体を演出する。
ロッド、リール、ライン、ルアーに渾身の遠心力を込める。
『シャー!』
スプールが静かな唸りを上げながら、ラインを滞りなく、極めて高速に放出していく。
…
そして、50m程先へ着水したクランクベイトは、バスへの生け贄として、あまりにも無謀な旅を強いられる。
いつバスが水面を割るかわからない。クランクベイトよ、無事で済めばいいが…。
…
二投、三投と、その場から撃つ角度を変えながら、あるいは、足場を徐々に変えながら、クランクベイトの挑戦を見守っていく。
…
どうか…。
繰り返し撃っていくが、反応はない。しかし、楽しい夕刻を過ごす。
私の場合、ロングキャストを行うには、一般的な成人男性ほどの腕力はあると自負しているため、次のような方法をとっている。それは、ロッドで円を描くようにして遠心力を産み、そのフルパワーをルアーに乗せるというオーソドックスなもの。
また、遠投の経験があまりないアングラーに是非おすすめしたい遠投練習法は、以下のようなものである。
まず、頭上で大きな円を描くようにロッドを回しながら、まるでハンマー投げのように助走を取る。そして、ルアーの重量の全てをロッドに封じ込めて、一気に解き放つ。初めは、「助走」としてロッドを回す回数を、「二回」行うことをおすすめする。
最初から、「一回」の回転で、ルアーに巧く遠心力を乗せることは難しい。おそらく、遠心の効力があまり反映されていない結果となってしまうだろう。特に、「ルアー」という比較的軽量な仕掛けを扱うならば、なおさらである。
そこでまずは、ルアーを放つ事無く、思いっきり「二回転」させるのである。すると、一回転目よりさらに強い回転力を、二回目には感じ取れるだろう。そして、その力のピークをしっかりと確認できたところで、タイミング良く放つ。
その行程を何度か繰り返し、遠心力がフルに活かされたキャストを体に叩き込む。その後は、ロッドの加速度を上げ、遠心力のピークを一回転目に迎えられるよう試みる。それが可能となれば、理想的なルアーの軌跡を得られるようになるだろう。
もちろん、このキャスト法は全ての人に共通するわけではない。体格のよい人、そうでない人それぞれであり、投げやすい方法、飛距離が出る方法もまた無限にある。それぞれのアングラーが独自の遠投法を探求していくのもまたおもしろいところである。そして、自身の遠投法がある程度確立してくれば、今度はラインの種類や号数、スプールのライン量にこだわる、さらにはそのライン特性に合わせたフォームを考えていきたい。そうすれば、陸っぱりの魅力はますます深まっていくだろう。
…
さて、残された時間も少ない。
自作ルアーの試釣はこのくらいにして…
続いては、早春の定番(一年中定番だが)、ホグ系ワームを投入する。
春はザリガニ等も活発に行動し始める。越冬から目覚めたザリガニは、穴から脱出してくるのである。これまたバスにとっては格好の獲物だろう。
そして、その光景をイメージしながら、ロングキャストとアクションを繰り返していく。着水後のフリーフォールと、着底後のポーズにまずは意識を集中。
ロッドを45度より少し高く立てながら、バイトを待つ。
…
続いて、小刻みなリフト&フォールを行いながら、短い移動距離で大きく水を動かしていく。
どうか…。
…出ない。
同じ足場から少し角度を変えてキャスト。
着水場所は同様に彼方のオープンエリア。ここは遠浅の地形で、水深は2〜3m。着底まではほとんど間がない。
…
『シャー!』
モンシターダーツホッグ。その巨大なボディは、甚大な風の抵抗を受けながら飛んでいく。
…着水。そして、フォール。
…
『クンッ!』
着底を待たず、フォール中のバイト。
しかし、大量に放出されたラインのため、アタリは鈍い。結果、巨大なストローク幅を要求される。
「よいしょーっ!!」
先ほどまでの仕事で、特にストレスがあったわけではないが…自分でも褒めたいほどの軌道でロッドがしなり、ラインが泣く。
『グングンッ!!』
ロッドを振り回すような、大きな反動が返ってくる。よっし。
『バシャ!!…バッシャッ!!』
良型のバスが、遙か遠方で空を裂く。水深がないため、バスは空を捕らえ放題である。
しかし、こちらもフッキングの安心感から、その舞を鑑賞するだけである。
元気のよい走りとライズ。それらを柔軟に流し、バスとの駆け引きを楽しむ。
…
そして、次第にバスは岸へと近づいてきた。
やった!45cmUP!!
このフィールドでは驚くほどのサイズではないが…綺麗な、美しい、そして、大きい一本である。最高に嬉しい一本である。
体の印象は、まだまだ冬のバスといった印象。白みを帯びた魚体に、赤みを持った口内、遠く澄んだ角膜、硬直する体。
おしりや尾ビレを確認しても、産卵シーズンにはまだしばらく時間があるようだ。
コンディションの良い、早春バス。そういった印象のバスである。
水温は10℃を下回っているものの、元気にベイトを追っているのだろう。…待ち遠しい季節がそこまで来ていることは、確かなようだ。
…久しぶりの魚に沸き立つ感情は、分かりきっていたもの。
嬉しい。楽しい。
これだけである。釣りは、最高に楽しい。
そしてその後、急速に陽は傾き始め、薄暗くなっていった。
…私は、周辺でもう少しロッドを振ることにした。
この季節、日が落ちれば、さすがに寒い。気温も一桁台まで落ちているはずだ。…だが、夕闇に紛れて、魚達は行動する。
3月に入り、産卵の季節を意識し始める頃となった。これからは、産卵の行動に伴った釣りスタイルが、好釣果をもたらすことだろう。
バスは、越冬場所から、直接、浅場の産卵場所へ向かうことは少ない。多くの場合、一度、越冬場所と産卵場所との「中継地」を経由する。水深は、2〜4m程度であろうか。さらにそこには、ウィードやオダなど、底に障害物があることが望ましい。また、この経由地は、産卵後、深場へと戻る際の「サービスエリア」にもなる。産卵に関する一連の行動を終えたバスは、いきなり深場へ戻るほどの体力はなく、ある程度の体力確保のため、比較的浅いエリアに留まる。
そして、体力が回復してきたかと判断すれば、深場や各々お気に入りの場所へ散っていく。
このような大規模なフィールドでは、それらの行動がより顕著に表れるだろう。
少し、そのことを念頭に置きながら、最後の一投を探す。
…
しかし、その後は悲しくも反応はなく…。
この日は、一本だけの釣果で終わった。
それにしても、グローブはしているものの、軽装で来てしまったことを激しく後悔することに。…寒い。
ネクタイをしたままのシャツ姿に、オールウェザースーツを羽織っただけの簡素な格好。ズボンは、スラックスのままである。
「うー、寒い」
足早に、帰り支度を始める。
…
月明かりが湖面を照らす。風も薄い。
そして、浮かび上がってくる、他のアングラーの姿。
日が落ち始めた頃から、その人数はさらに増えつつある。…仕事帰りに皆寄っているのだろうか。スーツらしきシルエットを確認すると、なんだか嬉しくなってくる。
2009年度のバス釣り、いよいよ開幕といった雰囲気。
今年も素晴らしい季節がやってきた。
バス& 野池画像−野池136−photo gallary
バス画像−野池136
野池画像−野池136