野池137−釣行記−FishingTrip
野池情報−2009/03/16
気象・野池状況 |
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天候 |
晴れ時々曇り |
最高気温 |
16℃ |
風 |
微風 |
平均水温 |
10℃ |
水質 |
中濁 |
basstank釣行記−2008/03/16−9:00〜18:00
久しぶりの一日釣行。向かうは、大好きな野池へ。
到着したのは、午前8時半を過ぎた頃。
天候は、多少の薄雲がかかっているものの、穏やかな晴れ。
気温もそこまで上がる気配はないが、早春に入り上昇傾向で、最近は落ち着いた模様。
また、そろそろバス釣りシーズンが開幕するころのはずだが…先行者の姿はない。
まだ難しい季節ということか。
確かに、水温は10℃を僅かに下回っている状況。しかし、フィールドにもよるが、その水温を意識すれば、水の中にはすっかり春が訪れていると判断しても良いだろう。
期待できるか…。出港準備を急いで終え、水面へ出た頃には、どうしようもないワクワク感に支配されていた。
…
まず撃っていくのは、ハドルスイマー・バクラストン。
とりあえず、岸際を流しながら、目立つカバーへ撃ち込み、3m以内の比較的浅い水深を泳がしていく。
また、そのスキッピング能力は高く、カバー奥まで面白いように滑り込んでいく。シルエットの大きさもアクションも、サーチベイトにはちょうど良い。
…早期の活躍を願う。
…
いつ襲ってきても、おかしくない。そういったコースを引いているのだが…。
リトリーブの中に異常が発生することを期待する。しかし、反応はない。
しかも、この水では、バスの姿はおろかチェイスを確認することも難しい。
…
と、ここで気分転換。ルアーチェンジ。
冬場に作っていたルアーのいくつかを投げてみる。
…いや正確には、遊んでみる。
『自作ルアー』
これまた素晴らしく楽しい、趣味、遊びである。
すっかり工房と化した自宅では、今も多くのルアーが眠っている。
一応、今日のフィールドの状況を読み、選んできたつもりのルアー達。そのどれもが、出番を待ち遠しくしているようで、こちらも心苦しい。
一から木を削り、色を落とし、磨き、そして、命を宿す。
言うなれば、「我が子」。
ともに成長の時間を共有し、巣立つ瞬間を見送ることができる。とは言い過ぎか。しかし、その感動は計り知れない。
…
さて…。
水の中で踊るルアー達を、しばらく眺めながらポイントを移っていく。
これらでバスを手にすることができれば、もう言うことはないのだが…。
…気づけば、午前10時を過ぎていた。この季節で、この水の色。やはり、そう簡単ではなさそうだ。
そろそろ、一本がほしい頃。
ここからは、より丁寧な釣りを試みる。
ゆっくりと、雄大に動くこの10インチカットテール。そのナチュラルな波動と、圧倒的な存在感には、頼もしさしか感じない。
今まさに、使いたいワーム。先日、この大きなワームを釣具屋で手にしたときには、周囲には照れを必死に隠したが…ストックしておいてよかった。今こそそう思う。
ここでの使い方は、7gのフロリダシンカーをセットし、あくまでもスローな釣りを心がける。ただし、撃ち込むポイントは、岸際の濃度の高いオーバーハング。着底から、3モーションほどまでに、勝負を仕掛ける。
…また、ここぞというポイントには、タンクリグを流し込む。早春の野池をあまり楽観視しないよう心決め…盤石の攻めで、さらに野池を駆け上がる。
…
居場所を探り当てている訳でもないが、ピンポイントで撃ちつつも、できるだけ広範囲に大きくアピールするものを選択したつもりだった。しかし、儚くも、私の釣りは否定される。
3月中旬、バスの居場所は限定的で、何処にでもバスがいるという訳ではない。バスの存在を確認するには、あるいくつかの条件が重ならなくてはならない。 それは、産卵に関する事柄であったり、水温やストラクチャーに関する事柄であったりするだろう。とにかく状況判断には、より精密さを求められる季節である。
ここは、超大規模野池と言ってよい規格のフィールド。岬やシャローエリア、ブレイクラインははっきりしており、水の流れも感じやすく、バスのルートを読むのはそれほど難しくはない。
しかし、エリアを間違えば、いくら丁寧に探ろうとも、到底、頂には達せない。それを痛感することとなった今、「ライトリグを落とせば、とりあえずバスは喰ってくるだろう」という安易な思想を、すぐ先行させたことに恥を覚える。
ルアーを落とす前に、そこにバスがいるかどうか何よりも重要なのである。10本中10本が喰ってくるようなルアーやリグを投げたとしても、その周囲にバスがいなければ何の意味もない。バスの居場所を明確に分析した上で、扱うルアーやリグに初めて意味が生まれる。
バスの居場所。今判断できる材料としては、前日までの天候と今日の天候。水温10℃という現実と、濁りの入った水とその水位。地形、ストラクチャー、底の構成物質と形状。ベイトの存在…。挙げればキリがないが、それらが一直線上に全て連なった時、初めてバスの居場所に確証が持てる。
釣りは難しい。
季節の変わり目にはいつも学んでいるはずだが、学習力に欠ける私は、その都度壁にブチ当たる。
このまま、ワーム類を打ち続けても良いが、それではあまりにも不効率であろう。何より、余程バスの居場所に確信がない限り、それらのアピール力には限界がある。居場所同様、ルアーの存在が、バスに伝わらなければ何も始まらない。
この状況を打破するには…シルエット、サウンド、アクション、そのどれもが格段と大きい「ハードルアー」の威力が必要だろう。
…
ビッグベイトと呼んでも良いサイズの、自作ビッグミノー。尻下がりの姿勢、フローティングタイプである。
360°に近い角度でローリングを生じ、リトリーブスピードを上げれば左右に大きく首を振り、水を裂く。完璧とは言えないがジャークにも無難に反応し、表層でトゥイッチさせればペンシルベイトのようにも扱える。泳がせてよし、積極的に動かしてよし、水を撹拌する能力は抜群である。
基本アクションは、引き波を立てながらのスローリトリーブ。あるいは、水面直下20cm以浅をスローリッピング。ロッドの上げ下げで、ルアーの泳がす水深をコントロールさせていく。
…
上流部を目指しながら、岸際を流していく。
…と、ここで大き過ぎるヒントが。
それは、水面に迫り出した木々の下を、ミノーにて、引き波を立てながらゆっくりと巻いていた時だった。
『ボンッ!!』
突然、衝撃音とともに激しい水柱が現れる。バイトだっ!
ロッドとラインに重量の有無を確認してからアワせようと、一呼吸置く。
…何の便りもない。
駄目か…しかし、不思議とそれほど悔しさは込み上げてこなかった。むしろ、心臓の刻む激しい心拍が脳内をも支配し、喜びの感情とともに複雑な血流を全身に届けている。
「水温10℃…」「で、あのド派手なバイトですか…」
ブツブツと独り言を呟きつつ、現状を理解しようと努める。今まで何の反応もなかったにも関わらず、いきなりのバイト。しかも、トップ。
…何が起こるかわからない。釣りとは自然相手の遊び。所詮人間の考察、経験など、いとも簡単に崩れ去る。
これもまた、勉強か…。前向きに考え、次のキャストに意識を集める。
…
そして、先ほどバイトがあったポイントから、少し上流へ向かったところ…。
もう一度…。その願いが、恐ろしいまでに早く叶う。
それは、同じくミノーで水面を騒がせていたときだった。…ルアーの取り込み間際に、時が止まる。
回収寸前、ふとルアーの動きを停止させる。
すると…
何処から現れたのか、突如巨大な魚体が、見惚れるほど美しく身を翻しながら、ルアーを奪う。
スローモーションのように…派手な水飛沫を立てながら。
『バシャンッ!!』
来たっ。
ロッドを優しく煽りながら、リールのハンドルを素早く巻く。
『ガゴンッ!!』
乗った!バスに違和感を与えた瞬間、とてつもない暴走が始まり、無念ながら主導権は完全にバスが握る。
この近距離で、その走りは反則でしょ…。
バスに翻弄され続ける。フッキングの様子は問題なさそうだが、ラインはナイロン10lb、無茶はできない。ドラグを慎重に調節し、バスの隙を探す。
しかし、急激な走りが多発する。ドラグが滑り続けることに苛立つ…重量もかなりあるようだ。
クラッチを断続的に切りながら、バスとの間合いを謀る。
…
かなりの時間、ファイトを続けていたように思うが、慎重にバスを寄せる策略には間違いがなく…徐々にバスの体力は落ちていった。
そして私は、間もなく下アゴを掴む。
…
大きい。引き上げてみて初めて驚くその大きさ。
コンディション、長さ、ともに完璧。野池最大級のバスが、突然水面を割り、神々しく現れた。
フッキングの様子も完璧である。我ながら、自身のフックセッティングを褒めたい。計算し尽くされたかのような、フロントとリアのフックアイの間隔。真横から襲われるシチュエーションを想定して…と言いたいくらいの絶妙の位置。
…まぁ、恐ろしく偶然なのだが。
…
とにかく、太い…デカい…。眺めるほどに見惚れる。
お腹の様子は…産卵を控えた個体なのだろう。産卵管は赤腫れしており、ハチ切れそうとまではいかないが、パンパンのお腹。
重い…脂肪をこれ以上欲しているのか…。
出会いに感謝し、丁重に水へ還す。その場所は必ずヒットポイント付近へ。水温は上がりきっていないが、産卵はまだ先とは限らない。どうか影響がありませんように…。
バスを見送ると同時、津波のように、一度沈んでいた感情が喜びの大波へと変化し打ち寄せる。
やった…。これ以上ない大きな幸福感に満ちる。
また、この一本で確信がもてた。
上流部のシャローエリア。
そして、流れのアウトサイドで、南向きの斜面。かなり限定された場所だが、ヒットしてきた理由は明確にわかる。
果たしてライトリグを打ち続けたところで出会える一本だろうか…いや、難しいだろう。ハードルアーの存在感、アピール力があってこその一本。そのことを痛感させられた魚であった。
…
続いて、最上流部を折り返し、次なるポイントへ。
…
ここはさすがに、いかにもというポイント。
そっと、倒木に沿ってラインテンションを保ったまま、タンクリグをカーブフォールさせる。
…
『コンコンッ』
着底を待たず、軽快なバイト。
すぐさまアワせると、ドラグの快音が小さく響く。
…
上がってきたのは…
嬉しい錯覚。一見子バスかと思ったが、一応40cmほどありそうだ。
魚の様子を伺うと…越冬ボケが抜け切らない、オス。という印象だろうか。その痩せ細った色白の姿には同情する。
しかし、このサイズが容易に釣れ始めたいうことは…間違いなく春到来、バス釣りの季節、開幕である。
…
午後1時半過ぎ。ここで昼食休憩。
昼過ぎには帰宅しても良かったが、今のこの状況を逃がす訳にはいかない。まだまだ楽しい釣りはできるはず…。
そして、かなり明確な方向性が見えてきた。
大型はすでに活発に活動を始めている。中型以下も、元気な兆しを見せ始めている。
ただし、エリアをかなり絞り込んだ結果に、それらの兆候は初めて感じられる。
極めて浅いエリア。
越冬場所からの中継点を過ぎ、産卵場所と判断しても良いエリアに、すでに入っているようだ…。
午前中の内に一周してしまったフィールドを、午後をかけてもう一度周ってみる。
また今度は、バイトの期待できるエリアが絞れているため、そのエリア以外はほとんど流すのみ。時間帯により何らかの環境変化があるかもしれないが、その可能性よりも、半日で築いた理論の方を大切にしたい。
午後2時半。
さて…
まず向かったのは、フィールドの南側に位置している、北西向きのエリア。
西へ傾きつつある陽と、石積みされた岸壁により、水温は高めに推移しているものと思わる。
そして、何より浅い。
また、水の流れは感じれるものの、平均的には落ち着いている様子。バスの産卵場所としては適しているだろう。
すでにネストを差しているのか、それとも、ベイトを積極的に追っているのか……真偽を追求するしかない。
カラーチェンジした、自作ミノーを放っていく。
全体をブラックに塗装、ウレタンで厚めのコーティング。ワンポイントとして、目とエラに「レッド」を使用。イメージとしては、早春バス、対マッディ用と言ったところだろうか。
同じく尻下がりのフローティングタイプ…今度は、水面直下のリッピングを中心にして探っていく。
…
しばらく撃つポイントを変えながら、さらに浅い水深のポイントを探っていく。
と、再び驚嘆の光景が再現される。
それは、着水後、ワンリトリーブ。1mほどラインを巻き、ルアーをポーズさせた時だった。
…
『ブワッ』
何処から現れたのか…いや、遠くから追ってきていたのがずっと見えていたような気もするが…いや、そこにずっと居たのか…
バスが、不用意に天空を見上げる魚を、横から豪快に襲う。
「喰った…」
その一部始終を目撃した私は、バスを確認した瞬間から、アワセの初期動作に入っていた。
『グーッ』
静かにロッドへ重みが乗る。…大きい。
ドラグが滑る。…ロッドが描く弧の中心角は、リールに伝わる重量感とは反比例している。
…不思議な感覚。
しかし、その感覚は永遠ではなかった。
ドラグを締め、その機能に信頼を預けると、すぐに爆発したような強烈な引きが襲ってくる。
ロッドが水中へ引きずり込まれる…。
その引きに畏れを抱きつつも、午前中のファイトを経験していたためか、落ち着いて対処することができた。
…
もう慣れたはずの取り込み。…しかし、バスは大人しくなることを止めない。
寸前にて、私にクラッチを切らせる。
すると、再び水中深くへと突き刺し、ファイトを振り出しへと戻す。
何度この幸福を与えてくれるのだろうか…。しばらく極上のシーソーゲームが続く。
…
そして、申し訳なくもバスは体力を削り、口を半開きにしながら、こちらにアゴを掴ます間を与える。
…
やった。
午前中から始めた釣行、ここに来て、ようやく安心の笑みが出る。
野池ビッグママ。まさに追い求めていたバスが現れてくれた。
少し早い気もするが、産卵直前か…。
パンパンのお腹。手に伝わる重量は、気のせいか一本目のバスより重たい気がする…。
腕の筋肉が張ってくる前、早々にリリースしなければ。一刻も早く…急げ。
…ふぅ。
生きているだけで、これだけ気持ちの良い溜め息があるだろうか。この空気を目の前の空間に届けられるのは、今この瞬間だけである。
…野池で一人、ニヤニヤする。…ニヤニヤする。
最高である。
また、自分で創作したタックルで手にするバス。この上ない。
間違いない。…確信する。
これは武器になる。ハンドメイドらしく、左右非対称の泳ぎ。不完全な重心移動を逆手に取り、突如発生するイレギュラーなアクション。バスの六感を刺激する予測不能の動き。
と、釣果が伴えば、何とでも言えるが…。
とにかく、要は、市販ルアーにはない「癖」のあるルアー。それがまた、バスに新鮮さを与え見切られにくい、飽きられにくい、という原動力となっているのは間違いないだろう。そして…愛着。もちろん、この要素が一番大きいのかもしれないが。
…今後の活躍を期待せずにはいられない。
…
さて…まだ出そうだ。
再びロッドを握り、フィールドを巡る。
用いるルアーは、先ほどのヒットルアー。本日の状況を加味した上で、絶対的な自信と、もっと使い込みたいという思いから、投げ倒すことにした。
と言っても、それ以上に有用なルアーを見い出せた訳ではない。この状況でさらに釣果を出そうと思えば、自然な選択だったかもしれない。
…
そしてこの後、優位な時間帯を迎えたこともあり、予想通りバイトが多発する。
…エリアは上流部。アウトサイドベンドの、やはりシャローエリア。
その様子は、着水後、岸と平行に数mリトリーブしたところで、何処からともなく水面が盛り上がり…「来たっ」と判断した後、ポーズしていると、水面が割られる。あるいは、リトリーブ中に同じく水面に異変が起こり、その直後ド派手なバイトが現れるというもの。
…
が、バラシを連発してしまう。
ロッドが強すぎるか…。もう少し柔らかいロッドを持ってくれば、と後悔しても遅い。ルアーの功績を、私の過失により無に還してしまう。
申し訳なくなり、スイムベイトやノーシンカーリグの表層引きへと変更してみるが…。
おもしろいように反応がない。
…ここまで、綺麗に反応が分かれることを実感することも珍しい。活性が高いという観点だけでは、到底説明できない状況であろう。
何とか、追加させたいが…。
と、私の心配が深刻化する前に、バスは比較的容易にヒットしてきた。
ルアーは、やはりビッグミノー。
よっし。…大台には少し足らないか。
これはわかりやすい、オス…か、あるいは、越冬覚めから抜け出したばかりの個体か。若干細い印象である。
それより、気になるのはフッキングの様子。
フロントフックが口の内側から掛かっている。これが一番嬉しい光景。ハードルアーのデザインにおいて、最も難しい要素の一つ、フックアイの位置。その一つの方向性を示すものとして、大変勉強になる。
…
さぁ、まだ出るはず。
同じエリアを撃っていく。
また…この今の感覚をどう表現すればよいだろうか。
決して魚影が濃い訳ではない。…単純に活性が高い訳ではない。
人間の推測が及ばない座標から、ルアーに吸い寄せられてくる。と表現すれば良いだろうか。ルアーがバスが狂わしている、と表現すれば良いだろうか。
不思議な感覚である。
「ハードルアーの方が簡単か」
議論するだけ虚しい議題だが、今の状況で他の選択肢はない。
…
そして、同エリアにて、本日のラストフィッシュ。プリスポーニングの45cmUP。
バイトは、表層引きにて。その様子は、ルアーを奪い去っていくかのような激しいもの。
大きな補色音とともに、そびえ立つ水柱。
その後は、ロッドとラインの軋む音のみを残し、水面には波紋が濃く刻まれていた。
…
午後5時半。
最後のバスを手にした後、間もなくタイムアップ。港へ向かう。
…
一日野池釣行において、5本という釣果。その内50cmUPが2本。
この結果を、私自身がどう捉えるか…。自作ルアーの出来栄えが良いから?技術が長けているから?
そんな愚かなことを唱えるつもりなど到底ない。
唯一信じることは、「フィールドを大切に」。その信念のみが、今回の釣果を支えていると考えている。
本当に釣りを楽しむにはどうするか。
本当に釣りを愛しているなら、どうすべきか。
愚かな釣り人よ。
ロッドを握る前に、どうすべきか。
ルアーを買う経済力があるのなら、その能力を少しでもいい。使ってほしい。
足下にゴミを捨てるな。
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