自作工程-ルアーの塗装
下塗り
まず、後の塗装をより一層引き立てるため、各パーツに下塗りをしていきます。(塗装の作業は、必ず屋外で行います。) 下塗りの色は、「ホワイト」が基本です。できれば、光沢有のスプレー缶を選択しましょう。 今回は行いませんが、下塗りを施す以外に、「コーティング剤」で下地作りを行う方法もあります。つまり、塗料(下塗りを含む)を塗る前に、木材を直接コーティング剤に浸してから塗装を行っていく方法です。こちらの方法をとれば、より耐久性の高いルアーに仕上がるでしょう。 |
塗装の準備として、各パーツを、針金で吊り下げていきます。この際、ハンガーや洗濯バサミ等を活用してもよいでしょう。 全体に、軽く薄めに吹きつけ、半日ほど放置します。 ここでの注意は、あまり塗料を塗布し過ぎないことです。多くの塗料を吹き付けてしまうと、気泡ができたり、液が垂れて塗装の厚さが一定ではなくなってしまったりします。うっすらと白い「膜」が出来る程度に留めておきましょう。 |
下塗りが乾いたら、ジョイント部分を接続していき、一体のボディにします。
本塗り-ウロコの表現
下塗り後の本塗りは、個人のセンス、好みにより様々です。
下塗り後のルアー
私的な見解ですが、塗装の精巧さによって、好釣果が出るとは限りません。
なぜ、ソフトルアーで釣れるのでしょうか?塗装が綺麗だから?…お世辞にも、それらが本物の魚に似ているとはいえません。
ソフトルアーの動き、水中で見えるコントラスト、意外性…塗装の精巧さとは、かけ離れた要素が、好釣果をもたらしているのは明らかです。
ハードルアーにおいても同じことが言えます。
塗装の精巧さではなく、アクションの様子、その動きの意外性、バスへの映り方などの方が、よほど、釣果に大きく影響を与えています。どんなに精巧な塗装をしても釣れない、あるいは、シンプルな塗装をしている方が好釣果ということも、実際には多くあります。
つまり、ここで必要なのは、本物そっくりの「精巧さ」ではなく、ブラックバスの好みや状態に合わせた、「着色の工夫」です。
ブラックバスのニーズに応える配色、そして、ブラックバスの食性を激しく刺激するような配色が必要なのです。
ルアーの塗装が精巧なことに越したことはありませんが、人間が自己満足をしていても、ブラックバスにとって魅力的でなくては意味がありません。
「こんな魚、今まで見たことがないぞっ!!」と、ブラックバスに思わせるようなビッグベイト…私の理想です。
以下では、最もシンプルかつ実用性のある塗装法の一つを紹介します。
まず最初に、ウロコ模様を再現していきます。
ウロコ模様ネット
まず、ジョイントしたボディの上に、網目模様のネットを置きます。この際、ボディにしっかりと密着させましょう。 このネットは、釣具屋やホームセンターなどで手に入ります。網タイツを活用しても、おもしろいかもしれません。
そして、この時使用する色が、ウロコの色になります。(今回は、メッキ効果有のゴールドを用いています。)
30〜50cmほど離れたところから、軽くスプレーしていきましょう。 遠すぎれば、徐々にスプレー缶を近づけていきます。ここでのポイントも、「薄く」塗装することです。塗料が多すぎると、ウロコ模様が消えてしまう恐れがあるので注意しましょう。 |
ウロコ塗装後のルアー表面 |
この後、1〜2時間ほど放置します。
片面の塗装が乾いた後、もう片面も同じようにウロコ模様を表現していきます。
本塗り-背筋と腹部の塗装
続いて、ウロコ模様のみがついたボディに、頭部から背筋、腹部部分の塗装をしていきます。 アイの部分から吊り下げ、頭部から吹きかけます。 このときの色が、ルアー全体の印象に大きく影響してきます。 そして、背筋への塗装に移っていくのですが、この時注意したいのは、 側部のウロコ模様が消えてしまわないようにしたいことです。 |
遠目に、ゆっくりと薄めに塗装していきましょう。
次に、腹部部分を塗装していきます。
色の選択についてですが、「ホワイト」か「グレイ」、「シルバー」をお勧めします。 頭部と背筋から、腹部にかけ、グラデーションのようにコントラストを変化させていくためです。(背筋と腹部の色のコントラストに、ある程度幅があれば問題ありません)
背筋側(色:トロピカルグリーン) |
腹部側(色:クリアホワイト) |
ほとんどの魚類は、腹部の色がホワイト系なのは間違いないでしょう。水中にいるブラックバスも、この配色に関しては文句なしのようです。
この後、再び半日ほど乾燥させます。
細部の塗装
全体的な塗装が終えたら、細かい部分の塗装に入ります。 頭部部分、エラ部分、ヒレ部分など、納得がいくまで装飾していきましょう。
ここでの作業で使用するのは、スプレーや「マジックペン」で十分です。 スプレー缶と同様の塗料が入っている、塗装ペンも市販されています。これらを用いて、自由にデザインしていきます。 魚種に固有な斑点や、アピール力増強のための「紋」を入れてもおもしろいでしょう。 |
そして、ルアーの自作に慣れてくれば、頭部を彫刻刀などで削り、さらに「リアル」な形態に仕上げることも可能です。次回は是非、目の付近を窪ませたり、エラに溝を掘ったり、あるいは魚の口元を表現したりということにも挑戦してみましょう。
また、透明なプラスティック容器を加工し、それを通して塗装を行うという方法もあります。
例えば、体の模様や、エラ、口元を切り取り、その上からスプレーしていきます。すると、切り取られた部分だけに、塗料を塗布するということが可能になります。これにより、正確に、細部の塗装を行うことができます。
ここで一つ、アイデアとして、「ラメ入りマニキュア」を用いるということも面白いかもしれません。
色は、ホワイトか透明なものがよいでしょう。これにより、高級感が加わり、生命感も宿ります。
塗装工程の後は、コーティング工程に入ります。