バスフィッシングの道具-ラインの解説
ラインの種類
バスフィッシングに用いられるライン(釣り糸)も、各メーカーから様々な素材を使用したものが 研究開発され、数え切れないほどその種類は豊富である。
ラインの種類は、大きく3つに分類され、「ナイロンライン」、「フロロライン」、「PEライン」とに 分けられる。もちろん、それぞれ、ラインの持つ「特性」は異なり、使用するルアーや フィールドに応じて、より適切なものを選択していく必要がある。 また、ラインの色も多用であり、「透明」色から「蛍光」色までバラエティーに富んでいる。
同号数(同じ太さ)のラインを比較した場合
特徴 |
ナイロン |
フロロ |
PE |
ルアー適性 |
ルアー全般 |
ワーム類 |
トップウォーター類 |
比重 |
水とほぼ同じ |
水より重い |
水より軽い |
感度※1 |
△ |
○ |
◎ |
結節強度 |
○ |
◎ |
△ |
耐磨耗性 |
○ |
◎ |
△※2 |
引張強度 |
△ |
○ |
◎ |
扱い易さ |
◎ |
△ |
○ |
柔軟性 |
○ |
△ |
◎ |
遠投性 |
○ |
△ |
◎ |
価格 |
◎ |
○ |
△ |
※1 ラインの伸縮性を示しており、ナイロンは伸びがあり、PEはほとんど伸びがない。
※2 コンクリート類との根ズレには弱いが、ウィード類やウッド類には極めて強い。
そして、メーカーごとにラインの性質も大きく異なる。同じ種類、強度を謳っているにも 関わらず、メーカーによって性能が全く異なるということは、実際にある。 さらに、巻き癖の付き易さや、結節強度(結び目の強さ)、伸縮性など、ラインに対して考慮しなければならないことは非常に多い。
それらの要素も加味していけば、さらによい釣果を望めるようになるだろう。
ラインの強度には、「ポンド(lb)」という単位が用いられる(1lbの耐強度0.45kg、太さ≒0.25号、)。 特に、10ポンド級のブラックバスは、スーパーランカーとされている。これほどのブラックバスが、ヒットすることは稀であろうが、一つの目安にはなる。 |
ナイロンライン、フロロラインの場合
タックルの目安 |
スピニングリール |
ベイトリール |
||||||||
ソフトルアー全般 |
ハードルアー全般 |
ビッグベイトなど |
||||||||
ライン(lb) |
4 |
6 |
8 |
10 |
12 |
14 |
16 |
18 |
20 |
22 |
太さ(号) |
1.0 |
1.5 |
2.0 |
2.5 |
3.0 |
3.5 |
4.0 |
4.5 |
5.0 |
5.5 |
強度(kg) |
1.8 |
2.7 |
3.6 |
4.5 |
5.4 |
6.3 |
7.2 |
8.1 |
9.0 |
9.9 |
※PEの場合、上記の表とは全く異なる。(同じ強度でも、細いなど)
ただし、ラインの強度や太さにも注意が必要で、それらの差が「遠投性能」や「バスの視認性」に影響する。一般的には、「細い」方が遠投可能で、バスへのプレッシャーも低いとされている。
また、新しい素材を使用したライン(ナイロンラインとフロロラインの両方の長所を持つようなラインなど)も、日々商品化されている。
ナイロンラインについて
ナイロンラインは、最も一般的で、汎用性も非常に高いラインである。 そして、巻き癖がつきにくいので、ライントラブルも少なく扱いやすい。さらに、比重も水とほぼ同じということで、どのようなルアー、場面でも使用できるラインである。 初心者が手にするものとしても、最も適切なラインであろう。 |
また、水面を泳がすようなルアーを扱う際にも、ナイロンラインは適している。水との比重がほぼ同じであるということは、ルアーがどの水深に位置していようとも、ルアーとロッド先端が一直線上に位置し易いということである(実際には水の抵抗や、ライン表面の凹凸、比重の誤差もあるが)。したがって、ナイロンラインを、トップウォーター(水面)での釣りに使用することにも、何ら問題はない。
ナイロン素材のラインの特性として、注目すべきは、その「伸縮性」である。ナイロンラインは、 「引っ張る」と、ある程度「伸びる」のである。伸びるということは、その分ライン自体の太さは 変化し、一定の強度を保つことは難しくなる。 つまり、伸びている部分の強度に不安を覚えてしまうのである。このことは、「結節強度」にも、悪影響を及ぼす。ナイロンラインの「結び目」は、決して強いとは言えないのである。 |
ラインを結ぶ際、その結び目に唾液や水をつけるという光景を見るが、これには理由がある。
特に、ラインをきつく締めこむ時、ライン同士の摩擦により「熱」が発生してしまう。 もし何も施しもせず、締め込もうとすると、「熱」のために、その部分のライン強度が極端に低下する という危険性が生じてしまう。 この「熱」を奪うためにも、水分を与えておくことは、とても大切なのである。
水分を付けておいてから、締めこむということを、是非覚えておきたい。
また、魚のアタリを「待つ(リールを巻くことを止め、アタリの感覚を待つ)」というスタイルの時は、他のラインよりも伸縮性があるため、アタリの感覚を感じ取りにくいということも考えられる。
ただし、「ブラックバスは吸引しながら捕食する」ということを念頭に置けば、ナイロンラインの伸縮性も、デメリットと決め付けることはできない。 つまり、クランクベイトなどをブラックバスに上手く吸引させるには、ナイロンラインを用いた方が、より適切ということである。(ただし、ディープクランクベイト(深場まで沈むタイプ)などを扱うときは、フロロラインを用いることが一般的である。)
フロロラインについて
フロロラインの特徴は、「堅い」、「水に沈みやすい」である。 一般的には、底付近を攻めるルアー(ラバージグなど)を使用する際に用いられることが多い。 「堅い」ということは、「伸びない」、「強い」ということである。 |
それらの利点としては、やはり 「感度」の良さであろう。特に、深場を探るような釣りや、風が強い時などアタリを感じ取ることが難しい状況では、特にその能力を発揮する。ナイロンラインに比べ、フロロラインを使用したときの、アタリの明確さは驚くべきものがある。
そして、「結節強度」も、他のラインと比較しても非常に高い。
また、底付近でルアーを這わせている時などに、ラインが岩やコンクリートに擦り付けられるということが予想される。そのような、「硬い」障害物と接触したときも、フロロラインはその「堅さ」から、切れにくいのである。 さらに、比重も水に比べ重く、沈みやすい。この観点からも、「沈めて釣る」という場面では、フロロラインの活躍は必至であろう。 |
ただし、その「堅い」という性質は恩恵ばかりではなく、ライントラブルももたらす。
ラインの巻き癖 |
「堅い」ため、リールのスプールには馴染みにくく、たとえ馴染んだとしても、「巻き癖」が強くつきやすい。 そして、ラインに癖が付くと、キャスト後大量のラインが重なった場合などに、「もつれ、絡まり」といったトラブルを起こしやすい。 バックラッシュを直している最中に、溜まったフロロラインが絡まってしまったという事態を、経験したバサーも多いのではないだろうか。 特に、スピニングリールでフロロラインを使用する場合はこのトラブルが多く、扱いには、十分注意が必要である。 |
現在では、巻き癖がつきにくい、結節強度も強いというフロロラインも開発、発売されている。しかし、同じフロロラインでも、各メーカーで性能は全く違う。「沈みやすい、堅い」という性質を理解し、ナイロンラインと上手く使い分けて、状況に応じたものを使う必要がある。
PEラインについて
PEラインもメーカーにより、その作りや性能は異なるが、基本的には何本かのラインを撚(よ)って一つのラインを作っている(一本の主ラインの周りを、繊維状のラインで撚ってあるようなものもある)。 PEラインの特徴は、やはり「軽い」、「細い」、「伸びない」という点であろう。 PEラインの比重は水よりも軽く、トップウォーターの釣りで用いるラインとしては、最も適している。 |
また、ナイロンやフロロラインに比べ、それらとたとえ同じ太さであっても、その引っ張り強度は3倍近くも高い。つまり、細いのに、強度が抜群に強いのである。したがって、ウィードエリア(水草群)などの、障害物が多い場所での釣りにも適している。さらに、細いということには、同じリールでもより多くのラインを巻いておけるという利点もある。
そして、同じ強度のラインの中でもPEラインが最も細いため、遠投性能も最も高いとされる。表面も非常に滑らかで、ナイロンラインなどに比べ、耐久性も高い。状況にもよるが、1年を通して使い続けることができる。
また、PEラインは、「裁縫用の糸」のように、ラインの伸びが全くない。したがって、魚のアタリをダイレクトに感じ取ることが可能で、フロロラインよりもその感度は高い。 「水に浮く」という特性を無視すれば、どのような場面でも、その細さと引っ張り強度の強さは、非常に強力な武器となるだろう。巻き癖も付きにくい。 |
ただし、PEラインにも弱点はある。
一つは、フロロラインのような、硬い障害物に対する強い耐性がないという点である。コンクリートなどとの摩擦に対しては、極めて弱く、擦れると切れやすい。
また、「急激」な引っ張りに弱いという点も挙げられる。例えば、キャストする際に、何らかの誤りでラインがリールから出なかったとする。すると、ロッドの反動により、ルアーだけがラインから切り離され飛んでいってしまうという事態が、PEラインでは起こりやすい。 結び目部分だけを二重にしておくなど、対策が必要だろう。
様々なラインが世に溢れているが、ラインの選択方法も「正解」というものはない。フィッシングスタイルは、人それぞれ異なるのが当然で、釣り場やその状況も異なる。実釣を通して、自分に合ったラインを探し出すことも、バスフィッシングの一つの楽しみだろう。